アップグレードガイド

11 から 12 へのアップグレード

Node.js の最小バージョン

Node.js の最小バージョンは 12.0.0 から、ES Modules のネイティブサポートを備えた最初の Node.js のバージョンとなる 12.22.0 に引き上げられました。

React の最新版へのアップグレード

アップグレードするには、以下のコマンドを実行します:

npm install react@latest react-dom@latest

yarn を使用する場合:

yarn add react@latest react-dom@latest

Next.js のバージョンを 12 にアップグレードする

バージョンアップするには、ターミナルで以下のコマンドを実行します:

npm install next@12

または:

yarn add next@12

Babel に代わる SWC

Next.js は、JavaScript/TypeScript のコンパイルに Rust ベースのコンパイラ SWCを使用するようになりました。この新しいコンパイラは、個別のファイルをコンパイルする際に Babel より最大 17 倍、Fast Refresh では最大 5 倍高速になります。

Next.js は、カスタム Babel 設定を持つアプリケーションとの完全な後方互換性を提供します。 Next.js がデフォルトで処理する styled-jsx や、getStaticProps / getStaticPaths / getServerSideProps のツリーシェイキングなどの変換は、すべて Rust に移植されました。

アプリケーションが Babel の設定をカスタマイズしている場合、Next.js は自動的に JavaScript/Typescript のコンパイルに SWC を使わず、Next.js 11 と同じように Babel を使うようにフォールバックされます。

現在、カスタム Babel 変換を必要とする外部ライブラリとの統合の多くは、近い将来で Rust ベースの SWC 変換に移植される予定です。これには以下が含まれますが、これらに限定されるものではありません:

  • Styled Components
  • Emotion
  • Relay

SWC を採用しやすくするためにはどの変換を優先的に対応すべきかを判断するため、ぜひフィードバックスレッド.babelrc を提供してください。

SWC による Terser の最小化の置き換え

next.config.js に以下のフラグを追加することで Terser を SWC に置き換えて、 JavaScript の minify を最大 7 倍高速化出来ます:

module.exports = {
  swcMinify: true,
}

SWC による最小化は、Next.js 12.1 でデフォルトになる前により多くの実際の Next.js アプリケーションでテストできるようオプトインのフラグになっています。 最小化についてのフィードバックがあれば、フィードバックスレッドに残してください。

styled-jsx の CSS 解析の改善

Rust ベースのコンパイラの上に、styled-jsx の Babel による変換に使用された CSS パーサをベースにした新しい CSS パーサを実装しました。 この新しいパーサーは CSS の取り扱いを改善し、以前はすり抜けて予期せぬ動作を引き起こしていた無効な CSS が使用された場合にエラーを発生させるようになりました。

この変更により、開発中および next build の際に無効な CSS がエラーを投げるようになります。この変更は、styled-jsx の使用にのみ影響します。

next/image のラップ要素が変更されました

next/image<div> の代わりに <span> で囲われた <img> をレンダーするようになりました。

.container span など span を対象とした特定の CSS を使用している場合、Next.js 12 にアップグレードすると <Image> コンポーネント内のラップ要素に正しくマッチしない場合があります。これを避けるには、セレクタを .container span.item などの特定のクラスに制限し関連事項するコンポーネントを <span className="item" /> のように、その className で更新する必要があります。

もしあなたのアプリケーションが、next/image <div> タグをターゲットとする特定の CSS、例えば .container div を使用している場合、マッチしなくなる可能性があります。セレクタの .container span を更新するか、できれば <Image> コンポーネントをラップする新しい <div className="wrapper"> を追加し、代わりに .container .wrapper のようにそれをターゲットにできます。

className プロパティは変更されず、その下の <img> 要素に渡されます。

詳しくはドキュメントをご覧ください。

Next.js の HMR の接続が WebSocket に

これまで Next.js は、HMR イベントを受信するために server-sent events 接続を使用していましたが、Next.js 12 では WebSocket を使用するようになりました。

Next.js の開発サーバーへのリクエストをプロキシしている場合、アップグレードのリクエストが正しく処理されるようにしなければならないことがあります。たとえば、nginx では、次のような設定を追加する必要があります。

location /_next/webpack-hmr {
    proxy_pass http://localhost:3000/_next/webpack-hmr;
    proxy_http_version 1.1;
    proxy_set_header Upgrade $http_upgrade;
    proxy_set_header Connection "upgrade";
}

express などのカスタムサーバーの場合、リクエストが正しく渡されるように app.all を使用しなければならないことがあります。

例:

app.all('/_next/webpack-hmr', (req, res) => {
  nextjsRequestHandler(req, res)
})

Webpack 4 のサポートを終了しました

すでに webpack 5 を使用している場合は、このセクションをスキップできます。

Next.js 11 はコンパイルのデフォルトとして、webpack 5 を採用しました。webpack 5 upgrading documentation でお伝えしているように、Next.js 12 では webpack 4 のサポートは終了しています。

もしあなたのアプリケーションがまだオプトアウトフラグを使って webpack 4 を使っているなら、webpack 5 upgrading documentation にリンクするエラーが表示されるようになりました。

target オプションが非推奨になりました

もし next.config.jstarget がない場合は、このセクションを読み飛ばして構いません。

ページを実行するために必要な依存関係をトレースするための組み込みサポートを採用したため、target オプションは非推奨となりました。

Next.js は next build の間、各ページとその依存関係を自動的にトレースし、アプリケーションの製品版をデプロイするために必要なすべてのファイルを決定します。

現在、target オプションを serverless に設定して使用している場合は、新しい出力の活用方法に関するドキュメント をお読みください。

バージョン 10 から 11 へのアップグレード

React のバージョンを最新にアップグレードする

Next.js 11 では、React の最小バージョンが 17.0.2 に更新され、すでにほとんどのアプリケーションで最新バージョンの React が使用されています。

アップグレードするには、以下のコマンドを実行します:

npm install react@latest react-dom@latest

yarn の場合:

yarn add react@latest react-dom@latest

Next.js のバージョンを 11 にアップグレード

アップグレードするには、ターミナルで次のコマンドを実行します:

npm install next@11

または:

yarn add next@11

Webpack 5

Webpack 5 は、すべての Next.js アプリケーションのデフォルトになりました。 webpack のカスタム設定をしていない場合、アプリケーションはすでに webpack 5 を使用しています。webpack のカスタム設定をしている場合は、Next.js webpack 5 documentation を参照して、アップグレードのガイダンスを得ることができます。

distDir がデフォルトで破棄されるようになりました

ビルド出力ディレクトリ(デフォルト: .next)は Next.js のキャッシュを除いて、デフォルトでクリアされるようになりました。 詳細は、the cleaning distDir RFC を参照してください。

もしアプリケーションが以前からこの動作に依存していた場合は、 next.config.jscleanDistDir: false フラグを追加して、新しいデフォルトの動作を無効にできます。

PORTnext devnext start でサポートされるようになりました

Next.js 11 では、アプリケーションが動作するポートを設定するための環境変数 PORT がサポートされています。 p/--port を使用することが推奨されますが、もし -p を使用することが禁止されている場合は PORT を代替手段として使用できるようになりました。

例:

PORT=4000 next start

画像を取り込むための next.config.js カスタマイズ

Next.js 11 は next/image による静的画像のインポートをサポートしています。 この新機能は、画像のインポートを処理できることに依存しています。 もし以前に next-imagesnext-optimized-images パッケージを追加していた場合は、 next/image を使って新しい組み込みサポートに移行するか、この機能を無効にするかのどちらかを選択できます:

module.exports = {
  images: {
    disableStaticImages: true,
  },
}

pages/_app.js からの super.componentDidCatch() の削除

next/app コンポーネントの componentDidCatch は、Next.js 9 からは不要で機能しないようになったため非推奨となっており、Next.js 11 で削除されました。

もし pages/_app.js にカスタムメソッド componentDidCatch がある場合は、不要になったので super.componentDidCatch を削除できます。

pages/_app.js からの Container の削除

このエクスポートは Next.js 9 以降、不要かつ非推奨となり開発中に警告が表示されて機能しなくなりました。Next.js 11 で削除されました。

もし pages/_app.jsnext/app から Container をインポートしている場合は、Container を削除してください。 詳しくは、ドキュメントを参照してください。

ページコンポーネントからの props.url の使用の削除

このプロパティは Next.js 4 から非推奨となり、開発中に警告が表示されるようになりました。 getStaticProps / getServerSideProps の導入により、これらのメソッドはすでに props.url の利用を禁止しています。 Next.js 11 でこれは完全に削除されました。

詳しくは、ドキュメントをご覧ください。

next/imageunsized プロパティの削除

Next.js 10.0.1 で next/imageunsized プロパティは非推奨になりました。 代わりに layout="fill" を使用できます。Next.js 11 では unsized が削除されました。

next/dynamicmodules プロパティの削除

Next.js 9.5 からは next/dynamicmodulesrender オプションは非推奨となり、非推奨であることを示す警告が表示されるようになりました。 これは next/dynamicReact.lazy と近い API 仕様にするための措置です。 Next.js 11 では、 modulesrender オプションは削除されました。

このオプションは Next.js 8 以降ドキュメントに記載されていないため、アプリケーションがこのオプションを使用している可能性は低いでしょう。

もしアプリケーションが modulesrender を使用している場合は、ドキュメント を参照するとよいでしょう。

Head.rewindの削除

Head.rewindは Next.js 9.5 から機能しなくなり、Next.js 11 で削除されました。 Head.rewindの使用は安全に削除できます。

Moment.js の locales がデフォルトで除外されました

Moment.js はデフォルトで多くのロケールに対する翻訳を含んでいます。 Next.js は、Moment.js を使用するアプリケーションのバンドルサイズを最適化するために、デフォルトでこれらのロケールを自動的に除外するようになりました。

特定のロケールを読み込むには、次のスニペットを使用します:

import moment from 'moment'
import 'moment/locale/ja'

moment.locale('ja')

この新しいデフォルトの動作が必要ない場合は、next.config.jsexcludeDefaultMomentLocales: false を追加することで無効にできます。 この新しい最適化は Moment.js のサイズを大幅に縮小するため、無効にしないことを強く推奨します。

router.events の使い方が更新されました

レンダリング中に router.events へアクセスしている場合、Next.js 11 では router.events はプリレンダリング中には提供されなくなりました。 UseEffectrouter.events にアクセスしていることを確認してください。

useEffect(() => {
  const handleRouteChange = (url, { shallow }) => {
    console.log(
      `App is changing to ${url} ${
        shallow ? 'with' : 'without'
      } shallow routing`
    )
  }

  router.events.on('routeChangeStart', handleRouteChange)

  // コンポーネントがアンマウントされた場合、`off`メソッドでイベントの配信を停止します:
  return () => {
    router.events.off('routeChangeStart', handleRouteChange)
  }
}, [router])

もしアプリケーションが router.router.events を使用していて、それが public でない内部プロパティである場合は router.events を使用するようにしてください。

React 16 から 17 へ

React 17 は新しい JSX Transform を導入し、長い間 Next.js にあった機能をより広い React エコシステムにもたらしました。JSX を使うときに import React from 'react' する必要がないことです。React 17 を使うとき、Next.js は自動的にこの新しいトランスフォームを使います。このトランスフォームでは、以前の Next.js の実装で意図しなかった副作用である、変数 React をグローバル化することはありません。React をインポートせずに誤って使ってしまった場合に自動的に修正する codemod is available が用意されています。

バージョン 9 から 10 へのアップグレード

バージョン 9 と 10 の間には、破壊的変更はありません。

アップグレードするには、次のコマンドを実行します:

npm install next@10

yarn を使う場合:

yarn add next@10

バージョン 8 から 9.0.x へのアップグレード

前置き

Vercel へのプロダクションデプロイ

動的なルーティングのために、 vercel.json ファイル内に routes を設定していた場合、Next.js 9 の新しい動的なルーティング機能 を利用することで、これらのルールを削除できます。

Next.js 9 の動的なルーティングは Vercel 上では自動的に設定されているため、 vercel.json のカスタマイズは必要ありません。

詳細は こちらの動的なルーティング を読んでください。

自分のカスタム (pages/_app.js) のチェック

カスタム <App> の例をコピーしていたなら、getInitialProps を削除できます。

pages/_app.js から getInitialProps の削除(可能であれば)は、新しい Next.js の機能を利用するために重要です!

以下の getInitialProps は何もしないため削除して構いません:

class MyApp extends App {
  // 削除して下さい、何もしません!
  static async getInitialProps({ Component, ctx }) {
    let pageProps = {};

    if (Component.getInitialProps) {
      pageProps = await Component.getInitialProps(ctx);
    }

    return { pageProps };
  }

  render() {
    // ... などなど
  }
}

破壊的な変更

@zeit/next-typescript はもはや必要ではありません

Next.js は @zeit/next-typescript の使用を無視するようになり、削除するよう警告されます。next.config.js からこのプラグインを削除して下さい。

カスタム .babelrc から @zeit/next-typescript/babel への参照を削除して下さい(存在する場合)。

fork-ts-checker-webpack-plugin の使用も next.config.js から削除されるべきです。

Typescript の定義は next パッケージと共に配布されるため、衝突する @types/next をアンインストールする必要があります。

以下の型は異なります:

このリストはアップグレードの助けになるようコミュニティで作成されました。もし他の違いを発見した場合は、他のユーザーの助けになるようにこのリストに対してプルリクエストを送って下さい。

変更前:

import { NextContext } from 'next';
import { NextAppContext, DefaultAppIProps } from 'next/app';
import { NextDocumentContext, DefaultDocumentIProps } from 'next/document';

変更後:

import { NextPageContext } from 'next';
import { AppContext, AppInitialProps } from 'next/app';
import { DocumentContext, DocumentInitialProps } from 'next/document';

config キーがページ上でエクスポートされるようになりました

ページから config という名前のカスタム変数(つまり export { config } / export const config ...) をエクスポートする必要はありません。 このエクスポート変数はオプトイン AMP や API ルーティング機能のように ページレベルの Next.js 設定を指定するために使われます。

Next.js ではない目的の config エクスポートは別の名前に変更しなければなりません。

もはや next/dynamic はデフォルトでロード時に "loading..." を表示しません

動的コンポーネントはデフォルトではロード時に何も表示しません。その場合でも、 loading プロパティを設定することでこの挙動をカスタマイズできます:

import dynamic from 'next/dynamic'

const DynamicComponentWithCustomLoading = dynamic(
  () => import('../components/hello2'),
  {
    loading: () => <p>Loading</p>,
  }
)

withAmp は削除され、エクスポートされた設定オブジェクトに置き換えられました

Next.js はページレベルの設定という概念を持つようになり、整合性を保つため withAmp 高階コンポーネントは削除されました。

この変更は Next.js プロジェクトのルートディレクトリで以下のコマンドを実行することで自動的に移行されます:

curl -L https://github.com/vercel/next-codemod/archive/master.tar.gz | tar -xz --strip=2 next-codemod-master/transforms/withamp-to-config.js npx jscodeshift -t ./withamp-to-config.js pages/**/*.js

この移行を手動で行う、あるいは codemod が生成する内容を見るためには、以下をご覧下さい:

移行前

import { withAmp } from 'next/amp';

function Home() {
  return <h1>My AMP Page</h1>;
}

export default withAmp(Home);
// または
export default withAmp(Home, { hybrid: true });

移行後

export default function Home() {
  return <h1>My AMP Page</h1>;
}

export const config = {
  amp: true,
  // または
  amp: 'hybrid'
};

next export はもはや index.html としてエクスポートされません

以前は、 pages/about.js のエクスポートにより out/about/index.html が出力されていました。この挙動は out/about.html を出力するように変更されました。

以下の内容で next.config.js を作成することで、以前の挙動に戻すことができます:

// next.config.js
module.exports = {
  trailingSlash: true,
}

./pages/api/ は異なる扱いになります

./pages/api/ 内のページは API Routes と見なされます。 このディレクトリのページはもはやクライアント側のバンドルに含まれません。

非推奨の機能

next/dynamic の一度に複数のモジュールのロードは非推奨となりました

next/dynamic の一度に複数のモジュールをロードする機能は、 React の実装 (React.lazySuspense) に近づけるため非推奨となりました。

この挙動に依存するコードの更新は、比較的簡単です!アプリケーション移行の助けになるよう、移行前/移行後の例を提供しました:

移行前

import dynamic from 'next/dynamic';

const HelloBundle = dynamic({
  modules: () => {
    const components = {
      Hello1: () => import('../components/hello1').then(m => m.default),
      Hello2: () => import('../components/hello2').then(m => m.default)
    };

    return components;
  },
  render: (props, { Hello1, Hello2 }) => (
    <div>
      <h1>{props.title}</h1>
      <Hello1 />
      <Hello2 />
    </div>
  )
});

function DynamicBundle() {
  return <HelloBundle title="Dynamic Bundle" />;
}

export default DynamicBundle;

移行後

import dynamic from 'next/dynamic';

const Hello1 = dynamic(() => import('../components/hello1'));
const Hello2 = dynamic(() => import('../components/hello2'));

function HelloBundle({ title }) {
  return (
    <div>
      <h1>{title}</h1>
      <Hello1 />
      <Hello2 />
    </div>
  );
}

function DynamicBundle() {
  return <HelloBundle title="Dynamic Bundle" />;
}

export default DynamicBundle;